竹中  障害があると、世間から同情的な見方をされてしまいます。保護の対象とみなして、年金や補助金で解決しようとするが、日本の社会には、彼らの可能性を伸ばすというプラスの視点に欠けているんです。
沢  同じ人間なのに、障害があるというだけで、その人の可能性の芽を摘んでしまうのは、非常に残念なことですね。その思いがプロップ・ステーションの設立につながったのですね。
竹中  実はチャレンジド(障害者)自身が生み出したともいえます。全国の重度の障害者1300人にアンケートを行ったところ、ほとんどの人が働きたいと答え、しかも、その武器はコンピュータであるという人が8割もいました。
沢  プロップの「チャレンジドを納税者にできる日本に!」というキャッチフレーズは、日本の福祉観を転換する試みの象徴だったわけですね。
山本  それまでの日本の福祉は「税金からナンボとってこられるか」というパイの奪い合いみたいな発想しかなかった。でも、働きたいという意欲を封じ込めて、年金や補助金を与えればいいというのは、すごく失礼な話だと思うんです。

 新しい時代に求められる福祉のあり方が、対談のテーマ。IT(情報技術)を利用して、障害者の自立と就労を支援してきた竹中さんの活動は、彼らのプラス面の可能性を伸ばし、日本社会の福祉観と労働観を転換させようという試みでもある。
 沢は、どんな人にも利用しやすい街づくりや、すべての人が誇りを持って生きていける「ユニバーサル社会」の実現こそ、国民の課題であると応じた。

竹中ナミ氏Photo竹中ナミ(たけなか・なみ) 1948年、神戸市生まれ。重症の心身障害児の長女を授かったことをきっかけに、ボランティア活動に携わる。92年、チャレンジドの自立と就労を支援する任意団体「プロップ・ステーション」を設立。98年に社会福祉法人格を取得。現在、プロップ・ステーション理事長。